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クローズアップ現代でカットされた場面の中に、国産材のほんとの可能性があった
11月13日にクローズアップ現代で西粟倉村の取組をとりあげていただきました。タイトルは、「眠れる日本の宝の山」
↓番組の内容はこちらで見ていただくことができます。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3273.html

残念ながら大幅にカットされしまった部分は、「商談成立!」という字幕が出た場面の前後。

商談が成立したお客様は、大阪の吹田市で建売中心で年間80棟の家を建設されているアイワホームさん。屋久島出身のバイタリティあふれる竹中社長は、「無垢の床の方がお客さんが喜ぶから、ちゃんと丁寧に説明した上で無垢を使う方がええんや」と仰います。「建売で無垢床」の工務店さんがあるというのは、私たちもとても意外でした。建売=新建材ペタペタというイメージだったからです。でも、竹中社長がほんとにお客さんがそこで健康に快適に暮らしていけることを追求しておられて、その結果として無垢床を標準にしておられて、壁もビニールクロスは使っておられません。
「車で10分でいける範囲しか家は建てないようにしている。その範囲なら何かあってもすぐに確認にいけるから。」という地域密着型。狭い商圏に絞り込み、そこで圧倒的な支持を受けている吹田市でナンバー1の工務店さんです。

クローズアップ現代のロケでは、西粟倉村のスギの床板を試験的に使っていただいたモデルハウスにもカメラが入っていました。担当のディレクターも、カメラマンも音声さんも、そのモデルハウスに入った瞬間から、表情が一気に明るくなりました。その日まで、各林業地で取材をして、明るい展望が全く見えなくなり、ぐったりしていたところに、無垢床の気持ちのいい家があり、そこで西粟倉のスギが使われていたわけです。ロシア産のパインの床板を使うことが多かったアイワホームさんが、全面的に西粟倉のスギの床板に切り替えることを決定された。そして、その空間がとても快適なわけですから、まだまだ日本の林業にも可能性があると、NHKのディレクターさんも実感されたようでした。「こんな素敵な家が増えて行けば、国産材の需要はまだまだ増える。こんないい家が建売であるなら、売れるに決まってるじゃないですか・・というか、自分もこんな家を買いたいんですが、関東にはないんですか」「うちは、地域密着でやってるから、関東は無理ですよ」撮影スタッフの方々とアイワホームの竹中社長との間で、こんなやりとりもました。

しかし、その場面は編集でカットされ、「商談成立!」という字幕でまとめられてしまうことに・・・ これは大変残念でした。

アイワホームさんのような「建売で国産材の無垢床」はこれから増えるのでないかと思っています。理由は、「高級な本格的な木の家の注文住宅」という選択肢と、新建材をぺたぺた張った安価な建売という選択肢しかなかったなかで、実はその中間の、「ほどほどの価格で自然素材」というニーズが潜在的には大きいということをアイワホームさんは実証されています。建売を中心にして月単位で建てる家の数が安定しているということは、材料屋である森の学校にとっては、大変ありがたいお客さんです。安定した販売先の確保ができれば、安定した工場の運転ができます。森の学校の工場は、小さな規模ですが、それでも固定費がとても大きいので、その固定費を超える安定した売上の確保がものすごく重要なのです。なので、安定した出口があれば、価格をある程度さげながら利益を出すことも可能になります。単純に外材より安いかどうかとか、そういう話の中では、出口の安定性の問題はあまり取り上げられません。しかし、実際の工場運営の中で、もっとも重要なのは出口の安定性なのです。

アイワホームの社長さんは、「だいたいの材木屋は平気で悪い材料を混ぜて納品してくる。正直な商売をする材木屋に会ったことがないが、あんたらは信頼できる」と言ってくださっています。もちろん材木屋さんもいろいろだと思いますが、木はいいものだから使いたいという気持ちをもってくれている工務店の社長さんが、材木業界についてそのようなイメージを持たれているという事実は、とても重いことです。

アイワホームさんとのお付き合いで分かってきたことは、次の2点です。

・無垢材を求めているお客さんは実際にすでにたくさんいる。
 でも、お客さんがほんとに求める家を提供できている工務店さんが実は少ない。
・国産材を扱うことに興味のある工務店さんも実は増えつつある。
 縮小していく住宅市場だからこそ、本物でなければ生き残れない時代に入りつつある。
 つまり、住宅市場が縮みゆくことを嘆くのではなく、そうだからこそ、
 本物が大切にされる時代が来ると 捉えるべきなのだと自分は考えています。

小さな村の中で間伐材を有効活用しようとする森の学校の工場と、地域密着で年間80棟というアイワホームさんが、規模的にも相性がよかったところもあります。流通は、規模がうまく合わないといけません。大規模な製材工場だけですべてのニーズは満たすことはできませんし、ニッチな市場はたくさんありますので、その地域や会社の事業規模に会った市場に適応していくことがとても重要なのだと思います。

商談成立!の背景には、以上のようにいろいろな要素が絡み合って、共存共栄の関係を構築していけると双方が思うことができたということがありました。西粟倉村の間伐材の安定した出口をどうやってつくっていくかが重要な森の学校にとって、アイワホームさんと出会うことができたのは大変大変ありがたいことでした。こういうありがたい関係が広がっていくと、たくさん間伐材を使っていただくことができて、快適な家に住む人も増えていくし、森も地域も元気になるはずです。

快適な家に住むことができる人、快適なオフィスで仕事をできる人を増やしていくために、精一杯がんばっていきたいと思います。森の再生はその結果としてついてくることでしょうから。
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